海外のホームインスペクション事情。先進国ではもはや当たり前に!

海外ではホームインスペクションは常識的に行われています。

日本も近年ではホームインスペクション(住宅診断)を実施する例が増えてきました。

海外ではすでに不動産取引において基本となっていますので、おそらくこの流れは今後主流となってくるでしょう。特に個人での住宅売買が盛んなアメリカでは、ホームインスペクションを行うことはすでに常識です。

それでは、海外におけるインスペクション事情をご紹介しましょう。

海外で主流となるホームインスペクションとは

ホームインスペクションは、家の健康診断だと言われます。

一般的に住宅の売買取引の契約期間中に行われる行為で、買主が購入前に建物の状態について、第三者の専門家に調査を依頼するのが一般的です。つまり買おうとする物件を調べ、納得して購入を決めるのが目的のため、費用は通常買主側の負担となります。調査の結果、購入しないことになったとしても費用は発生しますが、間違いのない物件を買うためには必要な経費と言えるでしょう。
かかる費用は、家の大きさや調査項目によって変わります。アメリカではベッドルームが1~3部屋の規模で400USドル(約4万3千円)程度、3~4部屋の戸建てで500USドル(約5万4千円)程度が目安です。※2019年1月18日時点

家の内外と設備機器、電気配線などを調査したり、水周りや屋根・屋根裏、床下や地盤などの状態も調査し、レポートされるので、妥当な金額と言えるでしょう。

所要時間はおよそ2~3時間程度です。

ホームインスペクションを実施した結果、何か問題があった場合

インスペクターは物件全体を見て、修繕が必要な箇所や問題箇所についてレポートします。
場合によってはさらに詳細なインスペクションを勧める場合もあります。

たとえばシロアリの痕跡があればシロアリの専門家に調査を依頼した方が良いですし、設備機器などはそれぞれの専門家が診た方が良い場合もあります。

もちろんこうした不具合が出てきた場合でも、それで売買交渉が流れるというわけではなく、一般的には修繕交渉となります。

契約成立には購入の申し入れから30~45日間程度の長い交渉期間が設定されるのが一般的なので、その間に双方で話し合い、納得できる形で締結となります。

アメリカのホームインスペクション

アメリカでは30の州がホームインスペクションに関する法を定めています。

売買交渉の期間中、買主は該当する物件についてあらゆる調査を行う権利が与えられていますので、その一環としてホームインスペクションは8割以上で実施されています。
調査の結果見つかった問題点は、買主が売主に対して修繕を要望したり、修繕費用の負担を要望したりすることができます。
買主は購入の申し込み時に手付金を支払うのですが、取り決めた一定期間内は保管され、キャンセルになった場合には全額返金されます。

つまり、アメリカの不動産取引では全ての調査が終わるまで、買主は違約金など無くキャンセルする権利が守られています。

積極的に申し入れをして、ホームインスペクションをどんどん実施するアクティブな市場になっているのです。

おおまかなプロセス

買主が契約締結するまでのおおまかなプロセスは以下の通りです。

1.物件情報をリサーチして現地を見学
2.購入の申し入れと手付金の支払い
3.契約期間開始と共にインスペクションや情報開示を実施
4.契約締結

ホームインスペクションは買主の権利と責任

以上は法的にもしっかり取り決めのあるアメリカの事例ですが、基本的に海外ではホームインスペクションは買主の権利であり責任でもあります。物件購入にあたり、あらゆる調査をする権利が守られているのと同時に、契約については全てが自己責任となるわけです。ですので、重要な判断材料となるホームインスペクションは、必須の手段です。

法的にも買主は物件の不具合や修繕項目は事前に理解したうえで、納得して売買契約を締結したと見なされますので、後々知らなかったと言っても通用しません。

こうした権利と責任が認められていることで、購入後に修繕や開示情報などで揉めることがなく、不動産売買が活発に行われるようになります。

インスペクションレポートの内容

海外のインスペクションでは、建物の構造や内外装の劣化状態、設備の欠陥の有無などについてレポートされます。

アメリカでは建物の状態を調査できるのはインスペクター(住宅診断士)という各州の認可・免許を取得した専門家で、品質や設備などを全体的に調査します。

インスペクションレポートはあらかじめ設定した診断項目に沿って、チェックした結果が写真付きでコメントやアラートと共に依頼者に報告されます。同時に住宅全体に関する論評も記載し、どのような不動産物件なのかが素人にもわかりやすく提示されているのが一般的です。

ただ、インスペクションレポートの内容はインスペクターによっても依頼内容によっても各々異なります。かなり簡易的にまとめられるものもありますし、逐一詳細にコメントされるものもあります。

費用にも関わってきますが、インスペクションを依頼する際にはどのようなインスペクションレポートを必要とするか、あらかじめ確認が必要です。

海外と日本のインスペクションの違いとは

国土交通省の調査によると、住宅供給量の中で中古住宅の割合は14.7%程度となっています。

この数値は海外に比べて圧倒的に低く、アメリカの83.1%、イギリスの87.0%、フランスの68.4%に比べても圧倒的に少ないことがわかります。

日本で普及していない理由

日本の中古住宅事情がこれだけ低いことを見れば、日本でホームインスペクションがなかなか普及しないのも当然でしょう。日本は新築ばかりが人気ですが、そこには昔の住宅における質の低さや中古不動産市場の未熟さなどが関係しています。イギリスのように築年数が古いほど価値が上がる文化とは真逆です。

また、ホームインスペクションが日本に入って来たのも2000年代とつい最近のことです。古くから中古住宅の取引が活発に行われてきた海外とは事情が異なりますが、インスペクターの数の少なさも関係するでしょう。

アメリカではホームインスペクターは数万人規模で存在しますが、これは市場規模と比例する数字と言えます。

日本は技術レベルが高い

まだまだ普及しているとは言えない日本のホームインスペクションですが、日本で始まっているホームインスペクションは、その技術レベルの高さに定評があります。インスペクションでは技術水準が重要ですので、日本の住宅診断と海外のホームインスペクションとを単純比較することはできません。特に日本は地震大国ですから、建物に求める品質はかなり高いものとなります。

日本の今後のホームインスペクションは、おそらく中古住宅市場の拡大に合わせて独自に進化し、国民性を反映した細やかなサービスに発展することでしょう。

まとめ

海外の不動産売買では当然行われているホームインスペクションですが、そこには中古住宅の流通率の高さや住宅の耐久年数の長さなども関係しています。

日本でも徐々に中古住宅市場を活性化させる法整備が進んでいますし、今後は日本独自のホームインスペクション制度も登場してくるでしょう。

現在のところ日本はまだまだ中古住宅後進国ではありますが、中古住宅の査定がより明確になれば中古不動産市場も大きく発展するはずです。


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